2024年から2025年にかけて、世界の主要中央銀行は前代未聞の政策転換期を迎えています。

米連邦準備制度理事会(FRB)は、急速な利上げの後「一時停止はするが、利下げはしない」という気まずい局面に。

日銀は、10年間続いたマイナス金利政策を正式に終了。

欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行は、インフレと景気停滞の間で難しい判断を迫られています。

このような背景から、投資家は中央銀行の政策が市場にどのような影響を与えるのか、その背後にはどのような意図があるのかを考えなければなりません。

これに対して、Zentara Exchangeの最高投資責任者である水野修矢氏はこのように指摘しました。

「金融政策の効果は一直線に伝わるものではなく、いくつもの要因が影響し合って生まれる『行動の連鎖』として現れます」

一、伝統的な理論は今も通用するのか?

経済学では、中央銀行の政策は主に4つの経路を通じて市場に影響を与えるとされています。

1.金利

借入コストを調整することで、消費や投資行動に影響を与える。

2.融資

銀行の融資能力に影響を与え、資金の供給を促進または抑制する。

3.為替

自国通貨の価値を変化させ、輸出や資本流入に影響を与える。

4.期待

インフレや経済成長に対する市場の見方を誘導する。

しかし水野氏は、現実は理論よりもはるかに複雑であると指摘しました。

・市場の流動性が潤沢である

・ますます多くの資金が銀行以外の金融システムに流れている

・投資がアルゴリズム取引や短期投機に偏っている

これにより、政策がもたらす影響は「遅れる、歪む、逆になる」 形で表れます。

例えば:

・2023年 FRBが利上げを続ける中、米国株と暗号通貨市場は上昇した。

・日銀の小幅利上げが円売りポジションの猛烈な反発を引き起こした。

二、行動ファイナンスの視点から見た金融政策

水野氏は「政策に対する市場の反応を理解するためには、心理的な要因を織り込む必要がある」と主張しました。

彼は、中央銀行が市場に与える影響を大きく3つに分けています。

1.直接的な影響(Hard Impact)

利上げや国債買い入れなどといった具体的な行動。

2.シグナル的な影響(Soft Impact)

声明、ドットチャート、発言などによって生まれた予想。

3.認知的な影響(Perceptual Impact)

中央銀行の姿勢に対する市場の主観的な解釈。

簡単に例を挙げてみましょう。

2024年3月、パウエル議長が利上げの休止を発表した後、市場は「もうすぐ緩和が来る」と受け止め、米国債や金が高騰しました。

しかし実際には、市場が「語調の変化」に過剰反応しただけであり、ドットチャートは利下げを示唆していませんでした。

三、金融政策はデジタル資産にどのような影響を与えるのか?

暗号資産市場の特徴は:

・ボラティリティが大きい

・主権信用の裏付けがない

・世界的な流動性の変化に敏感

水野氏は、典型的な影響経路を3つに分類しています。

①緩和期待が高まる→リスク選好が高まる→債券市場から暗号資産市場に資金が流入→暗号資産価格が上昇

②利上げ期待が高まる→ステーブルコインの借入コスト上昇→流動性提供者が撤退→DEXの出来高が減少

③インフレ圧力が高まる→インフレに強い資産に対する需要増加→BTC・金連動型暗号資産ETFが恩恵を受ける

四、投資家への実用的なアドバイス:どのように金融政策がもたらす影響を追跡すれば良いのか?

水野氏は、Zentaraのために金融政策トラッキングフレームワークを設計し、3つの重要な指標を盛り込みました。

①金利差を観察

現在の金利と将来予想される金利を比較する(Term Spread)。

②インフレ予想と実際のインフレ率を比較

TIPS(インフレ連動国債)とCPIをもとに判断する。

③市場の「誤解」や「過剰反応」を見抜く

政策と市場の動きのズレを見つける。

水野氏は最後にこうまとめました。

「政策そのものが直接市場を動かす訳ではありません。しかし、政策は人々の市場に対する見方を変えます。そのため、投資家はニュースの見出しに振り回されず、政策の背後にある真意を読み解く必要があります」