DeFi(分散型金融)は、一見「仲介者者のいない」自由な市場に見えるかもしれません。

しかし、水野修矢氏はこう指摘しています。

「ブロックチェーン上での取引、レンディング、ステーキングの背後には、複雑なマーケットマイクロストラクチャーが潜んでいる」

「流動性とは、単なる取引の深さではなく、市場に『受け入れられる』ために支払わなければならない代償なのです」と彼は結論づけています。

一、ブロックチェーンにおける流動性は大きく4つに分けられる

・プロトコル本来の流動性

例えば、Uniswapのプールは、一番基礎的な「自然に存在する流動性」です。

・インセンティブ主導の流動性

インセンティブ主導の流動性とは、SUSHIのように、マイニング報酬を通じてユーザーを引き付け、流動性を生み出す仕組みのことを指しています。

・クロスチェーンの流動性

クロスチェーンの流動性とは、WormholeやStargateなどのクロスチェーンプロトコルを通じて、異なるブロックチェーン間の資産移動を実現し、流動性を生み出す仕組みのことを指しています。

・流動性デリバティブ

流動性デリバティブとは、LidoのstETHやrETHなどのように、ステーキングされた資産を「再パッケージ化」して取引可能にしたものを指しています。

水野氏は「流動性の生じる仕組みが異なれば、資産価格を変動させる要因も方法も全く異なる」と指摘しています。

二、「幻の流動性」に騙されるな

水野氏は、以下2つの典型的な事例を挙げました。

・2022年 LUNAの急落

・2023年 Curve流動性プールの取り付け騒ぎ

彼曰く「これらの事件が発生した核心的な原因は、コイン自体に問題があったではなく、その背後にある流動性構造が高いレバレッジや予期せぬ出来事に直面して崩壊したことにある」だそうです。

また、水野氏は「DeFiに見られる高い年率利回りは、その背後にある流動性メカニズムの脆弱な変化を見落としていることが多く、中には、インセンティブで築かれた『幻の流動性』もあり、極めてリスクが高いです」と述べ、投資家に注意を呼びかけました。

三、オンチェーン資産の価格が妥当かどうかを見極めるためにはどうすれば良いのか?

水野氏は、非常に実用的な判断の仕方を教えてくれました。

①DEXにおける流動性の深さとスリッページを確認する

スリッページが高ければ、価格が不安定であることを示しています。

②大口投資家の取引行動を観察する

集中した大口取引や頻度の高い取引はリスクシグナルです。

③流動性がインセンティブによって積み上げられたものではないか、ロックアップ解除が集中して行われるリスクがあるかどうかを分析する

また、水野氏はZentaraが提供するオンチェーン分析ツールを活用し、高い利回りやTVL(預かり資産)の増加に惑わされず、様々な角度から「資産価格の真実性」を見極めること投資家に提案しています。

「オンチェーンの利回りは魅力的に見えますが、安全に市場に出入りできるかどうかを決めるのは、流動性の構造なのです」——水野修矢