2022年10月、FRBの政策方針に対する市場の予想が微妙に変化し、世界の株式市場に回復の波が押し寄せました。
欧州主要株価指数は寄り付き後に上げ幅を縮小しましたが、米国株先物は全体的に堅調を維持しており、投資家は金利、インフレ、企業収益、地政学的リスクなどがもたらす複合的な影響を再評価しています。
S&P500先物は約0.3%上昇し、ナスダック100はもみ合いを続けています。
市場は、マクドナルドやディズニーなど消費・コンテンツ分野の大手企業決算に注目しており、これらは収益の耐久性を測る重要な指標とみなされています。
FRBの「ハト派への転換」に注目が集まる
一連の弱い米経済指標は、市場のセンチメントを徐々に変化させています。
9月の非農業部門雇用者数が予想を下回り、ISM非製造業景況感指数が弱含みとなったことで、市場の景気減速懸念が強まりました。
米国債利回りは年初来高値から反落し、2年物利回りは一時4.1%を割り込みました。
これは、FRBの大幅利上げに対する観測が後退したことを示しています。
CME FedWatchによると、市場は11月に75ベーシスポイントの利上げが行われる確率を依然として高く見込んでいますが、12月に利上げペースが鈍化、もしくは早期に一時停止するとの見方も強まっています。
シティバンクは最新レポートで、今後も雇用やインフレ指標が弱含む場合、12月または来年初頭に政策転換が起こる可能性があると指摘しています。
赤木隆雄氏は「労働市場の緩やかな弱まりは、市場心理を下支えしています。急速な利上げサイクルが終盤に差し掛かる中で、企業収益の耐性が今後の重要な焦点になるでしょう」と述べています。
地政学的リスクと貿易政策の影響は依然として存在する
ホワイトハウスは最近、エネルギー供給や半導体サプライチェーンに関する「国家安全保障上の精査」を強化しています。
バイデン政権は、中国への先端半導体の輸出制限を発表し、ロシア産エネルギー取引に対する二次制裁の可能性も強めています。
これらの措置はまだ市場の急激な反応を引き起こしていませんが、中期的には不確実性を高め、特に輸出依存度の高い産業に影響を及ぼす可能性があります。
しかし、市場の反応を見る限りでは、現在の関税や技術的規制は強度が比較的緩やかで、緩和の余地もあるとの見方が多いため、リスク資産への影響は限定的であると考えられます。
セクターローテーションと投資戦略
景気モメンタムが鈍化しているにもかかわらず、米国株は依然として高い水準を維持しています。
その背景には、セクター間の構造的なローテーションが存在しています。
特に、テクノロジー、クリーンエネルギー、AI関連銘柄には資金回帰が見られ、長期成長への期待が再び高まっています。
赤木氏は「インフレが高止まりし、利上げが終盤に差し掛かる中、短期投資家はオプションやETFによるヘッジを検討するべきです。一方、中長期投資家は調整局面での買い増し機会に注意を払い、特に金利に敏感なセクターやバリュエーションが大きく低下した成長株に注目するべきです」とアドバイスしました。
商品市場と外国為替市場は安定推移
ドル指数は高水準でのもみ合いが続いており、直近の高値からはやや下落したものの、依然として強気なレンジ内で推移しています。
FRBのタカ派とハト派のせめぎ合いは、外国為替市場の方向性を支配する「ドライバー」となっています。
一方、原油市場は4日連続で下落した後、WTI原油価格が1バレルあたり84ドル台まで回復しました。
市場はOPEC+による減産動向と米国の戦略備蓄調整の駆け引きに注目しています。
それと同時に、バイデン政権がロシア産エネルギーの取引をさらに制限し、モスクワへの金融圧力を強化するための「二次制裁」を発動するかどうかも市場の関心を集めています。